TOKYO, Jun 16, 2023 - (JCN Newswire) - 三菱重工業は、IT機器を液体で冷却する液浸冷却装置を、既存のデータセンターでも導入しやすい「ラック型液浸冷却システム」として新たに開発しました。液浸冷却は、フッ素系不活性液体などの絶縁性のある液体にサーバーなどのIT機器を浸すことで効率的な冷却を図る、次世代の冷却方式です。
ラック型を採用した本システムは、空冷システムの運用基準におおむね準拠していることから、既存データセンター設備への導入適応性、運用性、保守性、積載多様性、省エネ性が向上し、複雑化する顧客ニーズへ柔軟に応えることが可能となります。また、当社製ドライクーラーと組み合わせて最適なシステム構築を行うことで、消費電力を大幅に削減できます。ドライクーラーのラインアップは、7kW級から300kW級(空気と水温の入口温度差30℃の場合)までの計6種で、全体システムはリモートによるモニタリングと運転が可能であることから、保守・運転の省人化にも貢献します。
本システムの導入単位は、データセンター構築では一般的な19インチラック単位としており、既存データセンターの構築、運用と大きな相違なく導入が可能です。また、IT機器を小型のユニット単位で格納するため、ユニット単位での運用保守や、同一ラック内に空冷システムと液浸冷却システムを並べて配置するハイブリッド運用などが可能で、余分な配線コストや管理工数を削減できます。さらに、機器の設置や取り外しに要する時間がそれぞれ5分以内で、メンテナンス時の油切り、クレーンなどの特別な装置などを必要としないことから、メンテナンス工程およびオペレーション工程も容易になります。
2023年3月から5月にかけ、株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、以下、NTTデータ)の三鷹データセンターEASTにて実施された本システムの実機検証では、これまでNTTデータが検証を実施したタンク型液浸冷却システムと比べ、冷却にかかるエネルギーがNTTデータの自社ビル基準において92%削減(注1)でき、タンク方式の課題である運用性も173%向上(注2)したことが確認できました。また、CPU/GPU負荷100%の場合でも冷媒の運用温度をコントロールすることで30~40℃付近の運用温度を維持しました。さらに本検証では、揮発性の高い冷媒を用いることで、冷媒排水後のIT機器を乾いた状態ですぐに取り出せることも確認でき、従来の液浸装置と比べてメンテナンス時間が大幅に短縮できる見込みです。これらの結果を踏まえ、NTTデータでは2023年度中に液浸冷却システムを活用した社内システムを導入する計画です。
近年、社会全体のデジタル化が加速したことで扱われる情報量は飛躍的に増加しており、電力消費量が急増するデータセンターに関しては、脱炭素に向けた省エネならびに安定運用が喫緊の課題となっています。加えて、データセンターに求められる顧客ニーズも複雑化しており、同一ラックのユニット単位で仕様の異なる機器が多数搭載されるなど、ラック提供サービスの需要も多様化しています。
三菱重工は、さまざまな熱分野で経験を積んだ当社グループの技術をベースに、将来的な市場の伸長が予想される高性能サーバーを活用するデータセンターに対し、高信頼性かつ高効率の電源・冷却システム・監視システムならびに統合制御をワンストップで提供し、カーボンニュートラル社会の実現ならびに地球環境保全に貢献していきます。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.mhi.com/jp/news/23061601.html
三菱重工グループについて
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。 www.mhi.com/jp
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三菱重工、既存データセンターにも導入可能な「ラック型液浸冷却システム」を新開発
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