三菱重工、次世代宇宙用MPUを活用したオンボードAI物体検知機を開発
東京, 2024年3月6日 - (JCN Newswire) - 三菱重工業はこのほど、次世代宇宙用MPU(注1)である「SOISOC4」を活用して衛星上で人工知能(AI)を駆動し、衛星画像から物体を検知するオンボードAI物体検知機「AIRIS(アイリス)(注2)」を開発しました。2025年度中に、小型実証衛星4号機「RAISE-4(注3)」に搭載され打ち上げられた後、軌道上での実証を行う予定です。
AIRISは、AIを搭載したデータ処理装置と東京理科大学が開発した地球観測カメラで構成され、軌道上から地球上の物体を撮影し、AIが画像処理することで物体を検知する衛星搭載機器です。従来は地上で行っていたAIによる検知処理を軌道上で行うことにより、画像から目的の物体が写っている領域だけをAIが選別して地上に送信できるほか、送信した画像をもとに地上で再学習したAIのデータを受信し、軌道上の搭載機器に実装したAIをアップデートできるのが特長です。
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「革新的衛星技術実証プログラム」の実証機会として2025年度中の打上げが予定されている「革新的衛星技術実証4号機(注4)」の軌道上実証において、AIRISではこれらの特長を生かした実証を実施します。具体的には、地球上で航行している船舶を撮像対象とし、画像から船舶が写っている領域のみをAIが選別して地上に送信し、地上でAIを再学習させた後、データを軌道上のAIに送信することでAIをアップデートするという一連のサイクルを確立します。
また、JAXAと三菱重工で開発を進めている「次世代宇宙用MPU(SOISOC4)」を活用してAIRISの動作を制御します。SOISOC4は、一般消費者向けの先端SOI(Silicon on Insulator)技術とSOC(System on Chip)設計技術をベースに設計・製造された国産マイクロプロセッサです。特長として、深宇宙の過酷な放射線環境に耐える高い耐放射線性、多彩な通信機能、セキュリティ機能および低い消費電力での動作性能を有しています。
三菱重工は、「革新的衛星技術実証4号機」での軌道上実証において、AIRISでのAI動作実証に加え、SOISOC4の軌道上デモンストレーションも実施します。これらの機器開発を通じて、これまで積み重ねてきた最先端の宇宙機器開発に関する技術・知見をさらに高め、日本の宇宙開発・宇宙利用の発展に貢献していきます。
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